熱中症警戒アラート

熱中症警戒アラートとは

環境省・気象庁が新たに提供する、暑さへの「気づき」を呼びかけるための情報です。
熱中症の危険性が極めて高い環境が予測される際に発表し、熱中症予防行動を効果的に促すために行われます。
熱中症警戒アラートの内容をひとことで言うと、
「今日は(または明日は)、熱中症にかかる危険性が極めて高いので、 いつも以上に積極的に、熱中症予防に努めましょう。」
という情報となります。

熱中症警戒アラート運用についての国の発表

1. 背景

熱中症による死亡者数・救急搬送者数は増加傾向にあり、気候変動等の 影響を考慮すると熱中症対策は極めて重要な課題です。
これまで、気象庁の高温注意情報や環境省の暑さ指数(WBGT)等によって国民に注意を呼びかけてきましたが、令和2年度からは、環境省と気象庁が連携して、より効果的な予防行動へ繋げるための新たな情報提供を検討し、実施することになりました。

2.発表方法

熱中症の発生との相関が高い暑さ指数(WBGT)を用い た新たな情報に置き換える発表されます。

3. 発表の基準

暑さ指数 (WBGT)が33℃を超えると予想される場合に、気象庁の府県予報区等を単位として発表されます。

4. 発表のタイミング

前日の17時頃及び当日の朝5時頃に最新の予測値を元に発表されます。
*発表の後に、天候が変わっても、発表の追加や取り消しはありません。

5.発表時の熱中症予防行動例

熱中症の危険性が極めて高くなると予想される日の前日または当日に発表されるため、日頃から実施している予防対策を普段以上に徹底することが重要となります。
  • 不要不急の外出は避け、昼夜を問わずエアコン等を使用する。
  • 高齢者、子ども、障害者等に対して周囲の方々から声かけをする。
  •  身の回りの暑さ指数(WBGT)を確認し、行動の目安にする。
  •  エアコン等が設置されていない屋内外での運動は、原則中止または延期する。
  •  のどが渇く前にこまめに水分補給するなど、普段以上の熱中症予防を実践する。

熱中症警戒アラートの発表状況を知るには?

熱中症警戒アラートの発表状況については、気象庁の発表する様々な気象情報と同様に、ニュースや天気予報等の多くの手段で知ることができます。環境省や気象庁のサイトで、最新の状況を確認してください。
熱中症警戒アラートのメール配信サービスや、環境省公式アカウントによるLINE通知などもあります。

熱中症の重症度と症状、対処法について

症状 重症度 治療 臨床症状からの分類
Ⅰ度
(応急処置と見守り)
めまい、たちくらみ、生あくび、
大量の発汗、筋肉痛、筋肉の硬直(こむら返り)
意識障害を認めない(JCS=0)
軽症 通常は現場で対応可能
→冷所での安静、体表冷却、経口的に水分とNaの補給
熱けいれん
熱失神
軽症の症状が徐々に改善している場合のみ、現場の応急処置と見守りでOK
Ⅱ度
(医療機関へ)
頭痛、嘔吐、倦怠感、虚脱感、集中力や判断力の低下(JCS≦1) 中等症 医療機関での診察が必要
→体温管理、安静、十分な水分とNaの補給(経口的摂取が困難なときには点滴にて)
熱疲労 中等症の症状が現れたり、軽症にすぐに改善が見られない場合、すぐ病院へ搬送(周囲の人が判断)
Ⅲ度
(入院加療)
下記の3つのうちいずれかを含む
(C)中枢神経症状(意識障害 JCS≧2、小脳症状、痙攣発作)
(H/K)肝・腎機能障害(入院経過観察、入院加療が必要な程度の肝または腎障害)
(D)血液凝固異常(急性期DIC診断基準[日本救急医学会]にてDICと診断)→Ⅲ度の中でも重症型
重症 入院加療(場合により集中治療)が必要
→体温管理(体表冷却に加え体内冷却、血管内冷却などを追加)呼吸、循環管理DIC治療
熱射病 重症かどうがは救急隊員や病院到着後の診察・検査により診断される
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暑さ指数(WBGT)とは?

暑さ指数(WBGT(湿球黒球温度):Wet Bulb Globe Temperature)は、熱中症を予防することを目的として提案された指標です。
人間の熱バランスに影響の大きい気温    湿度    輻射熱 (ふくしゃねつ)  の3つを取り入れた温度の指標となります。 ※1
熱中症の危険度を判断する数値として、環境省では平成18年から情報提供しています。
輻射熱とは?➡地面や建物・体から出る熱で、温度が高い物からはたくさん出ます。
※1 正確には、これら3つに加え、風(気流)も指標に影響します。
構成比率は温度:湿度:輻射熱=1:7:2ぐらいなので、温度よりも湿度や輻射熱の方が大きく影響します。

過去に東京で実際にあった2日間を比較してみましょう。

2011年7月18日と8月15日の例(東京)

7/18 8/15
最高気温 34.8℃ 33.2℃
最小湿度 42% 54%
暑さ指数(WBGT) 28.6℃ 30.2℃
暑さ指数ランク 厳重警戒 厳重警戒
熱中症搬送数 56人 100人
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最高気温は7月18日の方が高いですが、湿度は8月15日が高くなっている。したがって暑さ指数は8月15日の方が高く、暑さ指数ランクは両日とも厳重警戒。
熱中症搬送数は暑さ指数の高い8月15日が多くなっています。
なぜ温度より湿度が高い方が暑さ指数は高くなり、熱中症搬送数が増えるのでしょう?
湿度が高い場所では汗が蒸発しにくいので、身体から空気へ熱を放出する能力が減少してしまうので熱中症になりやすくなってしまいます。救急搬送データを基に日の最高WBGTと熱中症患者発生率の関係を示したグラフからも暑さ指数(WBGT)が28℃(厳重警戒)を超えると熱中症患者が著しく増加する様子が分かります。

では、日常生活の中で暑さ指数が、どれくらいの時にどんな注意をすればよいのでしょう?

暑さ指数の使い方
暑さ指数(WBGT)は労働環境や運動環境の指針として有効であると認められ、ISO等で国際的に規格化されています。

日常生活に関する指針

温度基準
(WBGT)
注意事項
危険 (31℃以上) 高齢者においては安静状態でも発生する危険性が大きい。外出はなるべく避け、涼しい室内に移動する。
厳重警戒 (28℃以上31℃未満) 外出時は炎天下を避け、室内では室温の上昇に注意する。
警戒 (25℃以上28℃未満) 運動や激しい作業をする際は定期的に充分に休息を取り入れる。
注意 (25℃未満) 一般に危険性は少ないが激しい運動や重労働時には発生する危険性がある。
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暑さ指数が28℃以上となる厳重注意や危険と評価される状態では、外出をさけ室内でもエアコンなどを使い温度の上昇に注意しましょう。高齢者の皆様は、暑さ指数が31℃以上となった場合には例え安静状態であっても熱中症になる危険性が大きくなると注意喚起がなされています。

また、運動に関しては別の指針が示されています。

運動を日常生活に取り入れるのは大切なことですが、暑さ指数や気温が高い場合は体調を考慮しながら慎重に行うようにして下さい。

運動に関する指針

気温
(参考)
暑さ指数
(WBGT)
熱中症予防運動指針
35℃以上 31℃以上 運動は原則中止 特別の場合以外は運動を中止する。特に子どもの場合には中止すべき。
31~35℃ 28~31℃ 厳重警戒
(激しい運動は中止)
熱中症の危険性が高いので、激しい運動や持久走など体温が上昇しやすい運動は避ける。10~20分おきに休憩をとり水分・塩分の補給を行う。暑さに弱い人※は運動を軽減または中止。
28~31℃ 25~28℃ 警戒
積極的に休憩)
熱中症の危険が増すので、積極的に休憩をとり適宜、水分・塩分を補給する。激しい運動では、30分おきくらいに休憩をとる。
24~28℃ 21~25℃ 注意
(積極的に水分補給)
熱中症による死亡事故が発生する可能性がある。熱中症の兆候に注意するとともに、運動の合間に積極的に水分・塩分を補給する。
24℃未満 21℃未満 ほぼ安全
(適宜水分補給)
通常は熱中症の危険は小さいが、適宜水分・塩分の補給は必要である。市民マラソンなどではこの条件でも熱中症が発生するので注意。
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※暑さに弱い人:体力の低い人、肥満の人や暑さに慣れていない人など

 

新型コロナウイルス対策で夏場もマスクを着用することが増え、例年よりも熱中症になる可能性が上昇すると考えられます。

様々な情報を収集し、新型コロナウイルスの感染から身を守りながら暑い夏を乗り越えていきましょう!