日焼けについて

皮膚は紫外線に対する保護機能を備えています。一つは角質層が紫外線を屈折、反射して皮膚への侵入を和らげます。
もう一つはメラニン色素が紫外線を吸収して、それ以上中に入らないようにします。

紫外線(Ultraviolet、UV)の種類

紫外線には波長の長いものから順番にA波、B波、C波があります。波長が短いものほど傷害性性が強く悪影響を与えますが、透過性は低いです。

紫外線の種類と皮膚への影響
C波は波長が短いためオゾン層に吸収されるため、地球上には到達しません。われわれが浴びている紫外線は大量のA波と少量のB波です。
では、A波とB波それぞれについてみていきましょう。

地表に大量に降り注ぐA波は窓ガラスを通過しますが、B波は通過できません。

  • A波・・・波長が長いため、皮膚の深部に侵入し、真皮に到達するため、長年の蓄積によりしわ、たるみ等の原因となります。
  • B波・・・A波より波長が短いため表皮にまでしか到達しませんが、皮膚に与える影響はB波の方が大きいです。

地表の紫外線量は緯度、標高、天候、大気中のチリの量などにより大きく左右されます。

サンバーンとサンタン
日焼けには赤くなる日焼け(サンバーン)と黒くなる日焼け(サンタン)があります。
気をつけなければならないのが赤くなる日焼けです。
いわゆる軽い火傷の状態で、ひりひりしたり、ぽろぽろと皮がむけてきます。これの原因となっているのがB波です。

一方、黒くなる日焼けはA波とB波によるものです。
A波によりメラニンの酸化がおこり一時的に、メラニンの色がより濃くなります。これを即時黒化あるいは1次黒化(2~4時間後)といいます。2、3日後に黒くなるのが2次黒化といわれるもので、B波によりメラニンの色素が増加するために起こります。

紫外線と免疫力
免疫に関連する様々な細胞が紫外線照射でその機能が抑えられてしまい免疫力が低下します(光免疫抑制)。
➡免疫力の低下が結果として皮膚ガンの発生に繋がっていると言われています

では、どのように紫外線から皮膚を守れば良いのでしょう?
まずは、紫外線の性質を知っておきましょう。

  1. くもりや雨の時は紫外線は少ない、もしくは気にしなくても良いのでしょうか
    快晴の時に比べると、うす曇りの場合は約80~90%、くもりの場合は約60%、雨の場合は約30%の量になります。雨の場合でも紫外線は0にはならず、うす曇りの場合は快晴の時とほぼ変わらない紫外線が地表に降り注いでいます。
    しかも、雲の間から太陽が出ている場合には、雲からの散乱光が加わるため快晴の時よりも多い紫外線が観測されることがあります。
  2. 紫外線は地面でどのくらい反射するのですか?
    地表面の種類により反射率は大きく異なります、反射率によっては反射による紫外線にも対策が必要です。新雪で80%、砂浜で10~25%、アスファルトで10%、水面で10~20%、草地・土で10%以下です。
  3. 紫外線は標高が高いほど強くなりますか?
    一般的には、標高が1000m高くなると紫外線は約10%強くなるとされています。ただし、大気が非常に澄んでいる場合などには、さらに紫外線が強くなることがあります。
  4. 札幌と那覇では1年間に受ける紫外線量はどのくらい違いますか?
    国内では一般的には、南の地域ほど紫外線量が多くなります。気象庁で観測した札幌と那覇の紅斑紫外線量を比べると、1年間に受ける量は那覇の方が約2倍多くなります。

*オゾン量や雲など、他の条件が同じなら、紫外線量は1日の中では正午頃、1年の中では夏至前後に最大となります

紫外線から皮膚を守る一番の方法は、紫外線を浴びないことですが、外出する以上は避けられません。

もちろん不必要な日光浴などをしないことを前提として、日焼け止め(サンスクリーン剤)の活用は有効な方法となります。

日焼け止め(サンスクリーン剤)について

主要成分として紫外線吸収剤と、散乱剤があり、これらが単独あるいは組み合わせて用いられています。
吸収剤はB波の紫外線をよく吸収しますが、A波を効果的に吸収する成分は限られているのが現状です。
散乱剤は酸化チタンや酸化亜鉛が主体で、B波からA波領域まで広く遮断します。
吸収剤はまれにかぶれを起こすことがあるので、かゆみや赤みが生じたら、吸収剤未使用などと表示されている散乱剤だけの製品が良いでしょう。ただし、強い遮断力を必要とする場合は、吸収剤入りの方が効果的です。

SPF(Sun Protection Factor)値について

日焼け止めの性能は以前よりSPFという値が用いられていて、これはB波に対する防御効果を表しています。具体的には、日焼け止めを塗った肌が塗らなかった時に比べて翌日赤くなるまでの時間をどれだけ引き延ばせるかを比であらわしたものです。

SPF30 10×30=300分(5時間)

つまり、SPF値=30とは、何も塗らない素肌が10分で赤くなったとすると、それを30倍延ばすことができるということを示しています。ただし、この数値は理論上の数値で、実際は日焼けしないためには、2~3時間おきに塗り直すことが大切です。
なお、SPFは数字が50以上になると、その性能に余り差がなくなり、実際的な意味を持たなくなるので、最近ではSPF50以上の場合、製品には単にSPF50+と表示するようになりました。

PA(Protection grade of UVA)について

PA分類は皮膚の老化の原因となる紫外線A波を防ぐ効果の目安です。
PFA値を算出し、その数値からPA分類をします。PFA値とは、日焼け止めを塗った肌と塗らなかったときで黒くなるまでに浴びた紫外線の量を比であらわしたものです。PAは+、++、+++で表されます。
PA+:防止効果がある、PA++:防止効果がかなりある、PA+++:防止効果が非常にある、という意味となります。

第一の目的は強い日焼けを避けるためです。レジャーで海や山へ行くときには強いものが必要ですが、日常生活で光老化を避けるため位ならさほど強いものは必要ありません。

条 件 防御対象波長 防御効果 備 考
SPF PA
日常生活 B波 5 + 光老化予防
軽い屋外活動、ドライブなど 10 ++ 日焼け、光老化予防
晴天下のスポーツ、海水浴など A波 20 +++ 日焼け、光老化予防。耐水性のあるもの
熱帯地方での屋外活動 30以上 +++
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気をつけなければいけないのは塗る量です。塗り方が少なければ当然所期の効果がえられません。必要量の2/3位しか塗らなければ、効果は半分くらいになってしまいます。また水泳や、汗で流れたり、顔を触ることでとれてしまうことも多々あります。思わぬ日焼けをしないためにも必要量をしっかり塗り、必要に応じて何度も塗ることが重要となってきます。塗る場所として顔はもちろんですが、意外と忘れやすいのはうなじや、耳たぶ、胸、首、手の甲です。これらの部位にもきちんと塗りましょう。


日焼け後のスキンケア

日焼け後のスキンケア1

バリア機能が低下しているために、刺激に敏感になっていてトラブルを起こしやすくなっているので、強くこすったり、石鹸で洗い過ぎたりしないようにして下さい。

日焼け後のスキンケア2

肌が乾燥しているので、保湿剤を使用する等して、それ以上乾燥させないように気を付けて下さい。
*日焼け止めは、しっかりと洗い落とすことが必要となります。水に強い物などを使用した時は特に注意が必要です。