「食中毒」について

腹痛や下痢、吐き気などの症状が急に出たことはありませんか?
そんな時に疑われるもののひとつが「食中毒」です。
食中毒は、飲食店などで食べる食事だけでなく、家庭での食事でも発生しています。

国が示している原則、6つのポイントを理解し食中毒を防ぎましょう。

食中毒予防の原則

食中毒は、その原因となる細菌やウイルスが食べ物に付着し、体内へ侵入することによって発生します。

細菌の場合

  • 食べ物に「つけない」
  • 食べ物に付着した細菌を「増やさない」
  • 食べ物や調理器具に付着した細菌を「やっつける」

ウイルスの場合

  • 調理する場所に「持ち込まない」
  • 食べ物や調理器具に「ひろげない」
  • 食べ物に「つけない」
  • 付着したウイルスを加熱して「やっつける」

*ウイルスは一般的に食品中では増えないので「増やさない」は当てはまりません

基本的な方法は、次のとおりです。

①つけない=洗う、分ける

手には様々な雑菌が付着しています。食中毒の原因菌やウイルスを食べ物に付けないように。次のような時は、必ず手を洗いましょう。

  • 調理を始める前
  • 生の肉や魚、卵などを取り扱う前後
  • 調理の途中で、トイレに行ったり、鼻をかんだりした後
  • おむつを交換したり、動物に触れたりした後
  • 食卓につく前
  • 残った食品を扱う前

生の肉や魚などを切ったまな板などの器具から、加熱しないで食べる野菜などへ菌が付着しないように、使用の都度きれいに洗い、できれば殺菌しましょう。
➡調理の順番を、加熱しないで食べるものを先に取り扱うなど工夫することは手間を減らすひとつの方法です。

*焼肉などの場合は、生の肉をつかむ箸と焼けた肉をつかむ箸は別のものにしましょう。
食品の保管の際にも、他の食品に付いた細菌が付着しないよう、密封容器などに入れたり、ラップをかけたりすることが大事です。

②増やさない=低温で保存する

細菌の多くは高温多湿な環境で増殖が活発になりますが、10℃以下では増殖がゆっくりとなり、マイナス15℃以下では増殖が停止します。
食べ物に付着した菌を増やさないためのは、低温で保存することが重要です。なお、冷蔵庫に入れても、細菌はゆっくりと増殖しますので、早めに食べることが大事です。

③やっつける=加熱処理

ほとんどの細菌やウイルスは加熱によって死滅しますので、肉や魚はもちろん、野菜なども加熱して食べれば安全です。
特に肉料理は中心までよく加熱することが大事となり、75℃で1分間以上の加熱が目安となります。
また、ふきんやまな板、包丁などの調理器具にも細菌やウイルスが付着します。特に肉や魚、卵などを使った後の調理器具は、洗剤でよく洗ってから、熱湯をかけられる物には熱湯をかけて殺菌しましょう。台所用殺菌剤の使用も効果的です。

*原因菌の中には熱に強い性質を持つ芽胞菌のウェルシュ菌やセレウス菌など注意が必要な菌もあります。

芽胞とは?
菌が生存に適さない環境(高温、乾燥、栄養状態の悪化)になると菌体内に芽胞という硬い殻の構造物を作って休眠することができます。芽胞は煮沸や冷凍処理、乾燥、アルコール消毒などの過酷な条件下でも完全には死滅しません。芽胞の状態のまま菌が増殖することはありませんが、生存に適した状態に環境が変化すると芽胞から菌が発芽し、再び活発に増殖を始めてしまうのです。

 

食中毒の原因 ウイルスの場合

①持ち込まない=健康状態の把握・管理

調理者が調理する場所にウイルスを持ち込まないためには、ウイルスに感染しない、感染した場合は調理をする場所に入らないことが必要です。そのためには、日頃から健康管理や健康状態の把握を行い、おう吐や下痢の症状がある場合などは調理を行わないようにしましょう。

②ひろげない=手洗い、定期的な消毒・清掃

万が一、ウイルスが調理する場所に持ち込まれても、それが食品に付着しなければ食中毒に至ることはありません。こまめな手洗いを行いましょう。
また、ふきんやまな板、包丁などの調理器具は、洗剤でよく洗った後、熱湯消毒を定期的に行いましょう。

 

食中毒を防ぐ6つのポイント

食品の購入から食べるまでの過程で予防の原則を実践
家庭での食中毒予防は、食品を購入してから、調理して、食べるまでの過程で、どのように細菌を「つけない」「増やさない」「やっつける」を実践していくかにあります。

①買い物 ・消費期限を確認する

  • 肉や魚などの生鮮食品や冷凍食品は最後に買う
  • 寄り道をしないで、すぐに帰る(車内放置などは特に気をつける)
  • 肉や魚などは汁が他の食品に付かないようにビニールなどに入れ分ける

➡生鮮食品は消費期限を確認し購入、他の食品とビニールなどで分け早めに冷蔵庫(冷凍庫)へ

②家庭での保存 ・冷蔵や冷凍が必要な食品は、持ち帰ったらすぐに冷蔵庫や冷凍庫に保管する

  • 肉や魚はビニール袋や容器に入れ、他の食品に肉汁などがかからないようにする
  • 肉、魚、卵などは取り扱う前と後に必ず手指を洗う
  • 冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫は-15℃以下に保つ
  • 詰めすぎると冷気の循環が悪くなるため食品を詰めすぎない

➡冷蔵庫は詰めすぎず、設定温度を適正にし帰宅後はすぐに冷蔵庫(冷凍庫)へ入れる
肉、魚は他の食品と分け保存し、肉・魚・卵などは取り扱いの前後で手を洗う

③下準備 ・調理の前に石けんで丁寧に手を洗う

  • 野菜などの食材を流水でしっかり洗う(カット野菜もよく洗う)
  • 生肉や魚などの汁が、果物やサラダなど生で食べるものや調理の済んだものにかからないようにする
  • 生肉や魚、卵を触ったら手を洗う
  • 包丁やまな板は、肉用、魚用、野菜用など用途に分けて使い分けると安全
  • 冷凍食品の解凍は冷蔵庫や電子レンジを利用し、自然解凍は避ける
  • 冷凍食品は使う分だけ解凍し、冷凍や解凍を繰り返さない
  • 使用後のふきんやタオルは熱湯で煮沸した後しっかり乾燥させる
  • 使用後の調理器具は洗った後、熱湯をかけることが可能な器具は熱湯をかけ殺菌する(特に生肉や魚を切ったまな板や包丁)

④調理 ・調理の前に手を洗う

・肉や魚は十分に加熱。中心部を75℃で1分間以上の加熱が目安。

⑤食事 ・食べる前に石けんで手を洗う

  • 清潔な食器を使う
  • 作った料理は、長時間室温に放置しない

⑥残った食品 ・残った食品を扱う前にも手を洗う

  • 清潔な容器に保存する
  • 温め直すときも十分に加熱
  • 時間が経ちすぎたものは思い切って捨てる
  • ちょっとでもあやしいと思ったら食べずに捨てる

 

食中毒かなと思ったら

おう吐や下痢の症状は、原因物質を排除しようという体の防御反応です。医師の診断を受けずに、市販の下痢止めなどの薬をむやみに服用しないようにし、早めに医師の診断を受けましょう。